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長くなったので分割。エロなしの方。
朝、学校に行くために目を覚ます。
ベッドから起き上がろうとするが思うように体が動かない。
体の仲が火照り、目眩がする。恐らく風邪を引いたのだろう。
どうやら昨夜の夜なべがたたったらしい。そういえば夜になってから気温も急激に下がったのだった。
「(参ったな…。頭が回らん…仕事にならんな…。)」
クウラの職業は教師。当然この状態ではその任を完璧に全うするのは難しい。
「(無理に行ったとして生徒に…悟飯にうつすわけにもいかんしな…。)」
学校に連絡しようと枕元に置かれた携帯に手を伸ばす。
何度も操作を誤りながらもなんとか学校に連絡をつける。
校長の許可ももらったことだ、もうひと眠りしようかと思うと扉のノックに妨害される。
「入れ。」
簡潔に答えると相手も簡潔に「失礼します。」と入ってきた。
クウラがこうなった理由の一つであるメタルクウラだった。
「おはようございますクウラ様。もう支度をなさらないと学校に…」
そこまで言いかけてクウラの様子に気がついたらしい。
すぐにクウラの元に駆け寄ると「失礼」と詫びてから額に手を当てる。
「こんなに熱が…。もしや私のせいで…!」
クウラはメタルクウラに感情を植え付けるために、夜通しビッグゲテスターのメインコンピューターをいじっていたのだ。
自分のせいで主人に風邪を引かせてしまった。悩むメタルクウラに反して当のクウラはそこに付け込む。
「少しでも責任を感じているなら俺の代わりに学校に行ってこい。」
「!!?出来ればそうしたいのは山々ですが…」
教員免許など当然持ち合わせていない。仮に持っていたとしても飛び込みで教鞭を振るうわけにはいかないだろう。
「問題ない。あのセルですらクビにならんようないい加減なところだ。むしろ代理がいて助かったと感謝されると思うぞ。」
そんなバカなと思いつつも主の命に従うことにした。
どんな無理難題でも主人に従うのが自分の存在理由だから。
「わかりました。では行って参ります。身の回りのお世話はいかが致しましょう?」
「そうだな…あまり期待はできんがスラッグでも使うか。さすがに看病程度のことはできるだろう。」
メタルクウラはこくりと頷くと思い出したかのように尋ねた。
「帰りに何か買ってくるべきものはございますか?」
「薬を切らしていたら買ってこい。他は…問題ない。」
間が気になった。何か欲しいものがあるのだろうと。
以前の自分には皆目見当もつかなかったが、今の自分にはそれが何であるかがわかる。
わかるが、わかってしまうと少し寂しかった。
それでも間を察し、気を配るのも家臣の務め。主人の望むものを持ち帰らねばと自身に言い聞かせる。
「今日はクウラ先生は風邪でお休みなので代理の先生が来てますよー」
紹介を受けて教室に入る。
クウラの言ったとおり簡単に代理教師となることができた。本当にいい加減な学校である。
「メタルクウラだ。よろしく。」
教室を見回すと以前屋敷で見かけた青年を見つける。
「(あれが悟飯…)」
青年の方を見ていると彼の方から話しかけてきた。
「クウラ先生が風邪って本当ですか?あの…お見まいに行っても…」
「ああ、構わん。クウラ様もきっとお喜びになるだろう。」
それを聞いた悟飯は嬉しそうだった。
「じゃあ、帰りにブウさんのところに行ってからお伺いしますね。」
ブウ…以前クウラが言っていた薬屋のことである。
なかなか狂気を孕んだ人物だが腕は確かで、彼の調合した薬はよく効くらしい。
「俺も行こう。クウラ様から直々に薬を買ってくるようにとの命を賜ったからな。」
この話は保健室で退屈そうにしているセルの耳にも入った。
正確に言うとスパイロボを通して見ていただけだが。
「クウラが風邪で悟飯がブウの元に薬をもらいに行く…か。これは面白い。」
直ぐに携帯を手に取りブウに電話をかける。
「もしもし、私だ。あとで悟飯がお前の元に来るはずだ。ん?ああ、クウラが風邪を引いたんだ。そう。彼に薬を渡す時に一緒に渡してほしいものがあるのだが。無論それとは悟られんように、だ。」
ブウは快くオーケーしてくれた。
セルはニヤニヤと笑いながら携帯を閉じた。
「さて、口止め料はいただくぞクウラ、フフフ…。」
ひと眠りして少し具合のよくなったクウラは、明日の授業のプロットを纏めようとした。
それでも机に向かおうとすると軽いめまいが妨害し、思うように足が動かない。
「チィ・・・こんなことならスラッグに薬を買いに行かせるんだったか・・・。」
時計に目をやると、もう帰りのホームルームが始まる時間であった。
「あと少し・・・か、今日は会議等は特になかったはずだ。」
薬を待って夜に作業を始めるべきか、無理をしてでも今片づけて夜は早めに床に就くべきか。
「悩みどころだな。夜に作業をするのは熱を上げてくれと言っているようなものか・・・」
市販薬の効能にはあまり期待できない。ブウの調合した薬なら話は別だが、取りに行けるものがいない。
「本当にあのナメック星人は役に立たんな・・・!」
ふと昼に粥を作って持ってきてくれたことや、タオルの代えを運んだりと何かと働いていたことを思い出し、続く罵詈雑言を呑みこんだ。
「さて、今すべきことはアホの罵倒ではなかったな・・・。市販薬では効き目も遅かろう。それに眠くなるはずだ。やはり今片づけるか・・・」
朦朧と机の上のペンを手探りで探していると、携帯に触れた。
「携帯・・・」
一瞬でもブウに連絡をとれば薬を届けてくれるだろうかと考えてしまった自分が嫌だった。
「くっ・・・、他人を使うことはいいが、頼むことはできればしたくない・・・。少なくとも俺のことなんかで・・・!」
万が一自分ではなく、悟飯になにかあればすぐにでもブウにすがっただろう。そんな自分が不思議でならなかった。
あの帝王クウラのプライドを簡単に捨てさせる青年の存在に少し恐怖を抱いた。怖かったが、嫌な気持ちではなかった。
「そういえば俺を慕い、教えを乞うてきたやつは悟飯が初めてだったな。」
どちらか片方は嫌と言うほど味わってきたが。
「俺としたことが下らんことに時間を浪費してしまったな。さて・・・」
ペンを探し当て、ノートを開こうとするとドアノックが行動を遮る。
「スラッグか?入れ」
「失礼します。」
敬語に驚き振り返ってみると、メタルクウラが悟飯を連れて部屋を訪れた。
「先生、お加減はいかがですか?あ、寝てないとだめですよ!」
机に向かうクウラの姿を見て悟飯は怒った。
「クウラ様、ブウの元へ薬を取りに行って参りました。」
サイドボードに乗ったコップに水を注ぎながらメタルクウラは報告する。
「食事前後でなくとも飲める薬だそうなので、今すぐお飲みください。」
「うむ。わざわざすまんな、悟飯、メタル。」
「お礼はいいんで、すぐに寝てください先生!」
ぐいと腕を引かれ、寝台の方へ導かれる。
引っ張られるままに寝台へ座ると、渡された薬を一気に飲み干す。
若干頭が軽くなった気がする。いくらブウの特効薬とは言え、こんなすぐに効果が表れるはずはないが、病は気からという言葉に則れば、いい傾向である。
「しかし、早かったな。ついさっきホームルームが終わったばかりだろう?」
「そうそう、メタル先生が瞬間移動を使えるんですよ!それで直ぐに行ってすぐに戻ってきたんです!」
メタルクウラが少し不思議そうな面持ちで悟飯の言葉に付け加える。
「我々が向かった時には既に薬の準備ができていたのですが・・・クウラ様はあらかじめブウの元へ連絡を入れていらっしゃったのですか?」
「なに?」
二人に感づかれないように頭の中で状況整理を行ってみる。
「(ブウが俺の風邪を知っている・・・学校関連だな。更にその中でブウと繋がりのあるのはセルか。セルがブウにそれを知らせるメリット・・・)」
「何か心当たりがございましたか?」
なんでもない、と首を横に振る。
「すまんが、薬で眠くなってきた。せっかく見舞いに来てくれたところ悪いが、少し寝かせてくれないか?」
悟飯はニッコリ笑う。
「ええ、先生の健康が第一ですからね。あ、そうだ先生・・・明日は学校に来られそうですか?」
心配そうな悟飯を見てクウラは笑った。
「ブウの薬なら一晩で熱が下がる。安心しろ。」
後編 ※エログロあり
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セル贔屓でブロやクウラ、ジャネやタレ、フリなんかもちまちまと。
悪役じゃないけど悟飯ちゃんも贔屓キャラです。