忍者ブログ
DBの悪役中心ブログ。 グロだったりBLだったりエロだったりネタバレだったり夢絵・文だったりキャラがコスプレしてたりパラレルだったりが容赦なく置かれているブログですので閲覧注意です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

元ネタLSD(という名前のドリームシミュレーターゲーム)。
これは特に目的もなにもなく夢の中を好きなように歩き回るゲームです。
個性的なキャラ(と言っても会話の類は一切ありませんが)が多々おりまして、その中でも特異なのが黒紳士なる人物。彼に出くわすと記憶を消されます。
記憶を消されますとメニュー画面から”フラッシュバック”という項目が消え、今まで見た夢を思い出せなくなるのです。
だからと言ってプレイに支障をきたすかというとそんなことはないのですが、このゲームには彼以外にプレイヤーに不利益を与えるものがいないので唯一の敵キャラと定義されることになります。

前置きが長くなりましたが、これらをもとにパロ(?)雑文を打ってみました。
セル(黒紳士)×ごはん(プレイヤー)ですorz BL注意です。



今日見た夢をノートに書きとめる。
今日は確かサバンナを歩いた。その前は確か遊園地みたいなところにいた。
「その前は…あれ?」
ここ数日夢の内容をはっきり思い出せない。夢から覚めるほんの少し前程度までしか思い出せないのだ。
夢日記を付け始めて約一か月。
二十日目あたりまでは夢の内容をしっかり思い出せていたはずである。
「うーん、ここ数日なんだよなぁ…なんか釈然としないなぁ。」
必死に思いだそうとしてもやはり記憶に残っているのは遊園地までである。
「思い出せないものは仕方ないや。でも、今日の分はしっかり覚えておかなくちゃ。」
日記を引き出しにしまうとベッドの中に潜り込む。
目を閉じているといつの間にか夢の世界へ引きずり込まれた。

「やぁ、ここはどこだろう?」
およそ見たことがない風変わりな建物。
どこか遠い国独自の文化なのだろうか。
「首だけの石像があるよ…。変わった服を着た白塗りのお姉さんもいる。面白いなぁ。」
自分の知識にないものをたくさん見られてご機嫌だった。
物珍しそうにきょろきょろあたりを見回しながら歩いていると、視界の端に黒いものが映った。
瞬間足は動きを止める。
本能がその黒い物体を正視することを拒否した。
すぐに逃げなければと思った。だが、足が言うことを聞かない。
黒い物体はどんどん近付いてくる。近づかれるにつれてそれが人影であるということを理解するが、そんなことはどうでもよかった。
「やだ…こっちに来ないで…」
全力で走って逃げることはできなかったが、確実に一歩ずつ後ずさることは出来た。
一歩また一歩と後ずさる。一歩また一歩とにじり寄られる。
何歩か後ずさっていると背中に壁を感じた。
逃げることに夢中で背後は全く気にしていなかった。
「(しまった…!)」
そう確信した瞬間、正面から思い切り引っ張り上げられる。
驚いて前を見ると黒い人物が自分の手を引っ張っていた。
「リンクはさせん。私が記憶を消す前に逃がしてたまるか。」
”リンク”、”記憶を消す”、何のことか全くわからなかった。
言葉の真意なんてこの際些細な問題だ。自分がどうされるのかが一番の問題。
「僕死にたくない!」
「安心しろ。私が奪うのは貴様の命ではない。記憶だけだ。」
―記憶を奪う―もしや最近の夢の内容がはっきりと思いだせないのはこの人物の仕業ではないのか。
「僕の記憶をどうして奪うんだ。」
その問いに紳士は答えない。
「逆に聞こう。お前はどういう時に他者の記憶を消したい?」
それは当然「相手に覚えていてもらいたくないことがある時」である。
「そりゃ覚えていてもらいたくないことがあるからでしょう?」
紳士はにやりと笑った。
「そうだ、私もそう考えている。」
「僕に覚えていてもらいたくないことがあるの…?」
紳士は無言でうなずいた。
「日記を付けてるから?僕が夢を形に残そうとしているから…?」
紳士は首を横に振った。
「お前が日記を付けていようといまいと関係ない。」
どうやらなぜ記憶を消したいのかという具体的な理由は教えてくれる気がなさそうだ。

「記憶を消す前に他の質問をさせてよ。」
紳士は少し考えると頷いた。
「いいだろう。どうせ疑問も答えも消されるのだからな。それで満足ならいくらでも。」
理由はもう諦めた。それなら先ほど口にしていた意味が不明瞭な言葉について聞いてみようと思う。
「”リンク”って何?」
「お前はこの世界の物に触れ続けるとリンク…つまり他の世界にトンでしまうんだ。」
つまり壁に”リンク”して逃亡を図ったと勘違いされていたらしい。
”リンク”の意味はわかった。だが、そこで新たな疑問が生まれる。
「じゃあなんで腕を掴まれた時にリンクしなかったの?」
その質問に紳士はにやりと笑う。
「私がお前の夢の中ではイレギュラーな存在だからだ。」
要は夢の中の常識、ルールがこの紳士には適用されていないらしい。不明なことは多いが、記憶の抹消と言いとても厄介な存在であるということは認識できた。
「お前の夢ではあるが支配権は私にあると言っても過言ではない。」
記憶の消去のことを言っているのだろうか。それともまだ隠し玉でも持ち合わせているのだろうか。
「ふーん、なるほど夢の中で君に会ったらいけないわけだね。」
「そういうことだ。」
一瞬悲しげな表情を見せたかのように思われたが、あまりにあっという間だったため見間違いかもしれない。
「もう質問タイムは終わりだ。記憶を消すぞ。」
指を一本突き立てる。
「ま、待って!」
慌てて指を握って制止を促す。
唐突に掴まれたためか紳士の行動が一瞬鈍る。
これ見よがしに質問を投げかける。
「なんでさっき悲しげな顔をしたの?」
見間違いかもしれない。だが、この人物としゃべっていて妙な感覚を覚えた。
恐らく初対面(記憶がないだけで以前に何度か出会っているかもしれないが)の時の恐怖は”記憶を消される”というデジャブが自分の体に刷り込まれていたためかもしれない。
だが、会話をしていて受けた印象は初対面のそれとは全く違う。少なくとも恐怖とは全くの別物。
「僕が何か悲しませることを言ったなら記憶がなくなる前に謝りたいんだ。」
紳士は考えた。
正直に言うべきか、それとも嘘をつくべきか。
ちらと少年の表情を伺ってみる。本心からの申し出であることはすぐにわかった。
ここで嘘をつくのは無粋であると紳士は判断し、真実を答えた。
「私はお前に会いたい。できれば毎日だ。」
「だから会いたくないって言われてそんな顔をしたんだね。じゃあなんで記憶を消すの?」
会いたいならそう言ってくれれば自分は毎日でも彼に会うだろう。
そして彼とのおしゃべりや共に過ごした楽しい時間を日記に書きとめておくだろう。

「はじめに言っただろう。”覚えていてもらいたくない”と。」
依然として指を一本突き立て記憶を消そうとする紳士。
「そんなのやだよ。僕は見た夢を覚えていたいんだ。」
必死に頼み込むが淡々と返される。
「なぁ、ごはん。知らぬがほとけと言う言葉を知ってるか?」
急に名前を呼ばれて驚く。
が、それ以上に紳士が記憶の消去に執着することが悲しかった。
「なんだよ…そんなに僕が覚えてちゃ都合が悪いことがあるの…?」
「あるさ。」
「ないよ。」
知れば傷つくことは世の中にごまんとあるだろう。
だが、無断で自分のモノを消されることに納得いかない。
「じゃあ、教えてやろう。」
紳士の大きな手が両の頬を挟んだ。
何事かと焦りを覚える。このままキスでもされるのかと言ったシチュエーションだ。
だが、紳士はそれ以上の身体の接触は避けた。
「キスを連想しただろう?」
見透かされているようで少し鳥肌がたった。
「…わかるの?」
紳士はフッと笑って手を離した。
「以前にしたことがあるから。」
顔が瞬時に真っ赤になって火照り出すのを感じた。
そんな少年の姿を見ながら紳士は続ける。
「もしかしたら消し切れていない記憶があったのかもしれん。やはりこんなことは覚えていない方がいいんだ。」
自分で言っておきながら少し悲しげな表情をする紳士を見て少し冷静さを取り戻す。
「そんなことないよ。やっぱり消さないでほしい。」
「消さないで”ほしい”?」
思わぬ申し出に驚いているようだった。
「確かにさっきの言葉にちょっとびっくりしたけどさ。でも、無理やりじゃなかったんでしょ?」
キス一つ、例えそれ以上のことをするのだってもっとうまいやり方はいくらでもあるはずだ。合意がなければの話だが。
「無理やりなんて…できない。」
「合意の上でならやっぱり僕も嫌じゃなかったんだよ。だったら余計に消さないでほしいな。」
楽しい思い出が記憶に残らないのは寂しいから。そう言ってほほ笑んだ。
紳士は俯く。どうやら少し照れているらしい。
「やはりだめだ!私が恥ずかし…」
急いで記憶を消そうとするが時既に遅し。

「あらら、おしいところで起きちゃった。」
もう少し決断が早ければ消せたのにねと笑う。
ただ、紳士には聞こえていないだろうが。

今日見た夢を忘れないうちにノートに書きこむ。
「今晩も会えるかな。今度こそ消さないようにきっちりお願いしないとね。」


<あとがき>
舞台は狂都。
最近うちのセルたんがウブになりつつある。びっくりです。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[10/21 BlogPetのこっぺぱん]
[10/14 BlogPetのこっぺぱん]
[08/11 歩]
[08/11 鉄-R]
[08/11 歩]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
鉄-R
趣味:
弐寺
自己紹介:
DBの悪役(概ね人外)に萌えまくり中。
セル贔屓でブロやクウラ、ジャネやタレ、フリなんかもちまちまと。
悪役じゃないけど悟飯ちゃんも贔屓キャラです。
ブログ内検索

Copyright © [ Q‐Holic ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]